ぼっち法務のブログ(番外編)

某中小メーカーのひとり法務担当です。ブログの内容は、法務と異なるものが中心です。

【Word小ネタ】定形文書の更新をスムーズに(ASKフィールドを使おう!)

 仕事で主にWordを使用と似たような作業が沢山出てきますが、こういった類似の作業をなんとか効率化できないものか、と色々探ったりします。

 そういったモチベーションの下、今日ご紹介するのは、Microsoft社のWordにおける、ASK(アスク)フィールドというものです。

 

 

ASKフィールドとは?

 ASKフィールドとは、「定形フォーマットの文書に存在する、更新すべき箇所をあぶり出して、効率的に文書を更新できる」コマンドです。

 
利点は何?

 ポイントは、

 ①更新すべき項目を忘れずに更新できる

 ②作業の定型化を進めることができる。

というところです。 

 

 確かに、ワードには、類似の機能として「置換」や「相互参照」があります。ただ、置換は、置換前の記載内容を入力する必要がある点で、やや非効率です。また「相互参照」は、修正時にリンク切れの危険があるため、使う人を選びます。

 

どんな場面で使える? 

 前記の通り、ASKフィールドは、定形フォーマットと相性がいいです。

 例えば、秘密保持契約書(NDA)等、「フォーマットは変わらないけど、都度相手方の会社名や開示目的は変更しなければならない」といった場面。

 いちいちスクロールして修正しても問題ないけど、「ミスを減らしつつ、もう少し機械的にスピードアップできないか」といった問題意識が出てきます。

 

 そんな時に、ASKフィールドです!

 

実際に使ってみる!

 今回は、経産省が公開しているNDAのひな形を用いて①相手方の会社名と②検討目的をスムーズに更新するフォーマットを作ってみます。

(なお、以下はMac OSの画面キャプチャですのでご注意を。)

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(1)ASKフィールドの入力

 いきなり超重要ポイントですが、どこか余白に、「{ ASK 相手方の会社名 } と入力しましょう。実行すると、この文字列は非表示になるので、どこに入力しても構いません。ここでは、タイトルの下の空いている行に入力してみました。

 但し、この{ }の入力は、【⌘ + F9】によって行ってください。Windowsの場合には【ctr + F9

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カーソルを合わせてグレーになれば成功です。

 ちなみに、この"ASK"とは文字通り尋ねるコマンドで、「相手方の会社名に何入力するの?」と更新時に尋ねてくれるようになります(詳しくは(3)で)。


(2)QUOTEフィールドの入力

 次に、実際に相手方の会社名を入力したい場所に{ QUOTE { 相手方の会社名 } }」と入力しましょう。

 ここでも、{ }の入力は、2つとも【⌘ + F9】によって行ってください。Windowsの場合には同じく【ctr + F9】です。

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同じく、うまく行っていればグレーに網掛けされます。

 なお、ここで末尾の署名欄の会社名のところにも同じQUOTEフィールドをご入力頂くと良いと思います。

 

(3)ここで注意!

 ASKとQUOTEは、2つで1セットなので、「{ ASK 相手方の会社名 }{ QUOTE { 相手方の会社 } }のように、表記がぶれていると、この後の動作が上手くいきません。

 必ず確認しましょう!

 

(4)更新してみる

 それでは更新してみましょう。

 【⌘ + A】で文書全体を指定し(Windowsの場合は【ctr + A】)、

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 【F9】でフィールドの更新を実施します(右クリック後に「フィールドの更新」を選んでも同じです)。

 すると、

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 ポップアップウィンドウが表示され、「相手方の会社名」と"ASK"してきます。
 ここに、実際の会社名を入れてOKをクリックすると、その会社名が、QUOTEフィールドを入力した箇所に出力されます。

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ここでは仮に「株式会社あいての会社」と入力しています。

 さて、上手く更新されたでしょうか。割と単純ですよね?

 

 同じように、NDAの「検討目的」についても{ ASK 検討目的 }{ QUOTE { 検討目的 } }を入力してあげれば、フィールド更新機能によって常に検討目的も忘れずに更新することができるようになります。

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ASKが複数ある場合には、フィールド更新すると、順に"ASK"してきます。

 ※上述の通り、フィールド更新すると、ASKフィールドは自動的に非表示になります。再度確認したい場合は、右クリックから「フィールドの表示/非表示」を選択して、再表示してください。

 ※(2019/1/7追記)ちなみにこのASKフィールドは、残念ながら、Word Online上では入力、編集はできないようです。

 

 最後に

 私もこの機能を繰り返し業務で活用しているのですが、一度フォーマットを作ってしまえば、思っていた以上に効率が上がったという実感があります。

 

 既にお気付きの方も多いとは思いますが、このASKフィールドの用途は、契約書に限られません。例えば規程、注文書・請書など、あらゆる定形フォーマットと呼ばれる書類に応用可能かと思います。

 

 今日からでも、ぜひ活用してみてください!